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ひろば

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すみコラム 第4回
  わんぱくクラブの保育を振り返って
   

みんなの・・・

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 すみコラム 第4回 わんぱくクラブの保育を振り返って
          〜集団作りはなんのために(前編)〜
(2013.05 近藤すみ子)
 
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  すみコラム 第3回(2012.09)   第2回(2012.06)   第1回(2012.04)
   人が変わる瞬間に立ち会える喜び(2011.08)   私とわんぱくクラブ(2009.05)


 わんぱくクラブは、前身が学童クラブだったこともあり、遊び、生活づくり、集団作りを意図的に行ってきました。今回は集団作りを中心に、毎日の小さな積み重ねがどんな力をつけていくのかについて語りたいと思います。 前身である世田谷幼稚園学童クラブ時代に行っていたことを、そのまま引き継いで保育をしていました。人数が少なくなっても、班活動もやり、おやつ作りや掃除もみんなでやりました。行事も、夏キャンプ、クラブまつり、スキー教室、地域のクラブの合同運動会への参加、雑居まつりのステージにも立ちました。また、6年生の卒業旅行でみんな一緒に箱根の一泊旅行にも行きました。

子どもたちだけでアーバンオリエンテーリング

 わんぱくクラブが始まって2年ぐらいは4年生以上の健常児主体の20人程度のクラブでした。それでやれることを考えて、ちょっと冒険でしたが、アーバンオリエンテーリングと称して、班ごとに子どもたちだけで、電車やバスを使い目的地へ行って、課題をこなし戻ってくるという活動をしました。父母の全面的な協力があってこそできた行事でしたが。たとえば、世田谷線に乗って豪徳寺に行き、招き猫についての質問事項(前もってプリントに書いてある)を調べて書く。プリントには、班の団結力とか、自己評価して点数を書くような欄もあり、帰ってきて、全員で発表して点数を競うという形にしていました。この活動の目的は、みんなが協力し合って困難なことが起こっても助け合う力をつけたい、ということだったと思います。その時ユウ君5年生、マサ君中学3年生。この二人も入れて、子どもたちで出かけました。予想できる立ち寄り先に父母を配置し、目的地では確かに来たというチェックもしてもらいました。綿密な計画を立ててもハプニングは起こり、一つの班が帰ってきません。班長から電話がかかってきて「ここはどこですか?」。あとでは笑い話になったのですが・・・。住宅街だったらしく、目印となる建物もないようなので、電柱をさがして、そこに町の名前と番地が書いてあるから調べてもう一度電話するように指示して、そのあとはどうやって帰ってきたか覚えていませんが、無事帰ってきました。

  二人でおやつ当番

 メンバーが少なくなると、グループで活動するのは難しくなりましたが、二人ずつおやつ当番をして、買い物は近くのお店に一人で買いに行ったりしました。帰ってくるのが遅いのでお店に行くと、牛乳をじっと見ているマサ君の姿がありました。「それだよ」と声をかけると、素早く手に取ったのを、昨日のことのように思い出します。同じような出来事がありました。お店が休みだったのを私がうっかり忘れていて、帰りがあまりにも遅いので行ってみると、シャッターが閉まったお店の前にじっと立っているユウ君を見つけました。そんな経験を繰り返すうちに、目的のものが、そのお店になければ他の店に回るようになっていました。

  メンバーだけで電車に乗る

 ひかりの外出の時、渋谷駅までメンバーだけで行くということを、何回かやりました。安全を確保するためには、スタッフがたくさんいります。見送る人、先に渋谷駅で待っている人、わからないように、同じ電車に乗る人もいります。スタッフ不足のために継続しては行えませんでしたが、この頃の経験がリーダー的存在であったユウ君がリーダーとしての自覚を強いものにしたのではないかと思っています。

  メンバーだけで買い物に行く

 ひかりの活動で、おやつを1週間分まとめてメンバーだけで買いに行ったり、土曜日に調理実習をやっている時、食材を買いに行ったりという取り組みもしました。調理の買い物に行くのには、買い物以前の問題がたくさんあり、短い期間では解決できないことや、時間的な問題などからやめてしまいましたが、食材の名前と実物の一致、自分で袋に買ったものを入れる、雨が降ったら傘をさして、荷物を持つ等のことがとても難しいことがわかりました。一つひとつ丁寧に取り組むことの大切さを学びました。

  地道な集団作りに向けて始動

 みんなでやれば、楽しさは倍増します。集団の中で個人が良い影響を受け、そのことで個人の成長が図られ、それがまた集団に良い影響を及ぼす。そのことを毎日の生活の中で実感してきました。もちろん、そこに集団があればつながりが生まれるかと言えばそうではありません。意識的な働きかけがなければ仲間としてのつながりは生まれません。障害が重い子どもも巻き込んで集団作りをしていくためには、毎日の生活の中でつながりを作っていくことが必要ですが、いくつもの壁を乗り越えなければなりませんでした。 自分たちの活動は自分たちで取り仕切るという気持ちを育てたいと考えて試行錯誤しながらやってきましたが、メンバーの人数が増えるにしたがって、実行するのは難しくなっていきました。スタッフの数も増え、子どもたちが動き出すまで待つという支援が難しく、自立心を育てるというより甘えを助長しまう状況が生まれてきました。子どもとの距離の取り方をうるさく言ったのもこの頃です。私も焦っていて「子どもにむやみに触らない!」「子どもから1メートルはなれて!」などとスタッフにきつい言い方をして、怖がられていました。ひかりの規人君は、小学校1年生の頃、私が大声を出すと飛び上がって逃げていました。

 集団を構成している子どもを、だれ一人仲間外れにしないように、「みんな楽しんでいた」「みんなやっていた」という時、みんなのというのは全員を指すのか、ということを追求しました。あの子は無理だから数に入れない、などということがないように、常に自分たちの保育を振り返って考えるようにしていました。 時間がかかっても、地道な集団作りをすることが『自分たちの活動は自分たちで取り仕切る』という気持ちを育てるために、一番の近道だと考え、集団作りに向けて取り組みました。学習会も集団作りについてのテーマをたくさん取り上げました。(後編へ続く)


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