子供の書いたtとんかつの絵   

おしゃべり広場(2005年9月)         ●過去のページ一覧へ



 障害児のいる生活で起こるあんなこと、こんなこと、落ち込んだこと、嬉しかったこと、腹がたったこと、それ以外にも、おすすめの場所、感動した本、ここは、何でもありのおしゃべり広場です。
 今回は凛さんのちょっと悲しい、でもあったかいお話。本当は6月にいただいていたのですが、更新が遅くなってごめんなさい。あとは、あいかわらず、RYOのつぶやき・・です。

☆猫、死んじゃった(2005.06 凛)
☆何か変(2)!(2005.08 RYO)
☆捨て虫(2005.08 RYO)
☆捨て虫(2)(2005.08 RYO)


猫、死んじゃった

 約20年間一緒に暮らした猫のリン(凛)が2月の末に死にました。
 なぜか動物が苦手の長男(わんぱくの子どもには多いのです)に慣れさせるためと、弟を欲しがる次男のために知人から貰ってきたハンサムなオス猫でした。

 しばらくすると家族のそれぞれの役割が形作られてきました。食料調達と猫ッ可愛がり役は妻、と書くと馬鹿みたいですが好き嫌いの激しいヤツで何が好きか見極めてあげるのが大変なのです。あと道具で延々と遊んであげなくてはいけませんし、ブラッシングも大変なのです。夫の私はひたすらトイレの掃除。ベランダのトイレにあるかれの臭くてたまらないウンコとオシッコの塊をオエオエしながら毎朝片付けて燃えないゴミの日に出すのです。次男は自分の弟として付き合っていたのでリンも文句も言わずいじめに近い可愛がり方にしょうがないという顔をして耐えていました。たまには爪でひっかいていましたが。几帳面な性格の長男は食事係で、朝のカリカリ(乾燥食を食べているときの音からこう呼ばれた)一皿と夕方の缶詰を水とともに20年間与えつづけました。

 それぞれの役割の中でリンの立場から見て一番重要な人間は言うまでもなく食事係の長男でした。狭い部屋の中で彼の後をひたすらついて回ります。特に彼の食器のあるところの近くを長男が通りかかるとニャンニャンと大騒ぎをして気を引きますが、いつも空振りに終わりました。でも間違ってくれるかもしれないから大鳴きを繰り返すのです。

 私が猫を飼った理由に、寒い冬の夜股の間に挟んで寝た幼児体験ありました。ホントにふんわり暖かかったのです。それと当時ネコマンマしかあげてなかったので猫の食費なんか考えてもいなかったのです。ところが彼はネコマンマには見向きもしないし、安い缶詰は食べないしケンタッキーとシュークリームの好きな超ワガママ猫だったのです。そのうえ膝にも乗ってこないし(20年間でたったの3回だけ)股バサミなんかもっての外のヤツだったのです。いつも長男の布団のうえでまるまっていました。 そんなヤツでも、この世からいなくなるのは困ります。今は骨になって写真と共に我が家に鎮座しており、トイレもお茶碗もそのままです。長男はそれに向かって「いってきます」と言って仕事に出かけます。 (2005.06 凛)


何か変(2)!

 8月、ちょっと用事があって会社を早退した。午後3時ごろの山手線に乗る。小学校2,3年生くらいの女の子が、一人で優先座席に座っていた。かわいい小さなピンクのバッグを、となりの座席に鎮座させている(要するにバッグと二人分の席を占領している)。車内は、ラッシュ時間帯ほどではないが、それなりに混んでいる。でも、誰も注意しない。本人も全く気にしない。私は、いつものようにドアの近くに立っていたが、乗ってきた初老の方が、女の子のバッグをチラッとみて、反対側で立っているのに気づいて、意を決して女の子の前に言って話しかけた。「このバック、おじょうさんの?」その子はめんどくさそうに頷いた。「自分の荷物はひざの上に乗せてね。そしたら、他の人がすわれるでしょう?」 その子はバックを自分の方に引き寄せた。私は、自分は座る気はないので、その場を離れた。私が座らないのを確認すると、その女の子は、再び、となりの座席にバックを置いたのである。さもわずらわしそうに・・。カチンときた私は、再度カバンをひざの上に置くように言って、今度は私が座ることにした。一駅だったけど。私が降りた後、彼女はまた、バックを席に座らせたのだろうか。

 家に帰ってその話をすると、「そういうことするときは、学校名を聞けばいいのに・・」と過激なアドバイス。「でも、注意するなんてヒマだね。」多分こっちが一般的な本音。
 その後、よく観察すると、荷物を座らせている大人も結構たくさんいることに気づいた。混んできたりすると、荷物を引き寄せる人もいるが、全く無頓着な人も多い。いったいどうなっているのだろう。やっぱり何か変・・・。(2005.08 RYO)


捨て虫

 これは、去年の初夏のこと。庭のくちなしの1本が1日で丸裸になった。ビックリしてみると、ここそこでオオスカシバの幼虫がガシガシと葉をかじっている。年1回消毒するように言われた小さな庭は、一度も消毒していない。「消毒したら、虫はいったいどうなるの?」というのが、ダンナの弁。

 4年ほど前、区の農園を借りていた。ほうれん草、サツマイモ、トマト・・、トウモロコシなども作った。花などでもそうだと思うが、ちょっと多めに種をまいて、しっかりした芽を残して後は間引く。でも、我が家はこれができない。「せっかく一生懸命芽を出して、ここまで大きくなったのを摘むなんて、そんな残酷なことはできない。」そして、こう付け加える。「弱い芽を間引くってのは、何か、障害をもった長男を否定するようでイヤなんだよな。」

 で、我が家の小さな庭は、猫にもトイレが必要、虫にも生活する場所が必要・・と、無法地帯になっている。だけど・・昨年夏、くちなしの1本が1日でほぼ丸裸になって、さすがに我慢できなくなった。はさみで葉ごと取ったり、お箸でつまんだり、虫に触れない私が涙の大奮闘で虫を取った。箱に入れた虫をみて考える。せかっくここまで大きくなったのよね。食性があるから、食べられる木のところでないと、死んでしまうよね。で、相談の結果・・・。
 公園のくちなしの木に、捨て子ならぬ捨て虫したのは私達です。ゴメンナサイ!  (2005.08 RYO)


捨て虫(2)

 去年ほどではないけれど、今年の夏もオオスカシバの幼虫は、ガシガシと盛大にくちなしの葉をかじっている。結構賢くて新芽のやわらかい部分を集中的にかじる。去年は捨て虫をしたけれど、今年は、箱にいれて観察することにした。木の下のほうの固い葉をやっておけば、木のダメージも大きくはない。子供のころに家にくちなしの木があって、何度も幼虫を孵したダンナは、「綺麗な蛾やで」と話す。

 幼虫は、葉にしがみついて、ガシガシとかじる。その食べっぷりは本当に見事で、どことなくかわいい。食べて、ウンチして、数ミリの幼虫が脱皮を繰り返し、6,7センチの丸々した幼虫になり、やがてさなぎになる。成長というのは、本当にたいしたものだ。子供達も時々のぞいている。彼らが小さかったころよく読み聞かせた絵本「サラダと魔法の店」の話を思い出したり、さなぎを見て、「今この中で形態形成場が発動して、体の大改造をしてるんや」などと言ってみたり。

 ある朝、ついにさなぎから羽化した。緑色のビロードのような体に透明な羽。本当に綺麗な蛾である。こども達が起きてくるのを待って、写真をとって、空に放す。2匹目の羽化、朝起きてきて見ると羽が白い。へー、白い羽もあるんだ、とダンナに話して、見に来たダンナいわく「羽、透明やで」。どうやら羽が白いのは、羽化した直後だけで、その後燐粉を落として羽が透明になるらしい。そんな瞬間を見ることができて、なんだかとても得した気分。
 育ててくれてありがとー、お礼です、と、また卵を産みにくるかも・・。ま、それでもいっか、と思う。(2005.08 RYO)