子供の書いたtとんかつの絵   

おしゃべり広場(2004年6月)      ●過去のページ一覧へ



 障害児のいる生活で起こるあんなこと、こんなこと、落ち込んだこと、嬉しかったこと、腹がたったこと、それ以外にも、おすすめの場所、感動した本、ここは、何でもありのおしゃべり広場です。皆様のおしゃべりをお待ちしています。
 今回はあっこさんが初登場です。ハイキングの話です。

☆大好き!(2004.05 あっこ)
☆駒沢オリンピック公園(2004.02 RYO)
☆負け犬の遠吠え(2004.03 RYO)
☆土曜マーケットのこと(2004.05 RYO)

大好き!

 5月3日、朝雨が降ってたのに、無謀な親達が子ども(知的障害の子ども達です)を連れて、9時に明大前駅ホームに集合しました。  八王子に着いてトイレに行かせ、バス停に行くと、真っ赤な車体の、ボンネットが前にせり出したバスが来ました。「わあ、ネコバスだあ」、  それに乗って、陣馬高原下まで行きました。そこからボチボチ歩いて(おしゃべりしながら行くとあっという間に感じます)、和田峠へ。そこでジュースなど補給して山道に入り、陣馬山山頂へ。  朝の雨はうそのように晴れて、青空に雲の模様が広がります。丹沢、道志の山々、生藤山、八王子方面、影信山や城山方面…、360度のパノラマ、山頂には白馬の美しい像が気持ちよさそうに立っていました。

 お弁当やおやつをたくさん食べて、飲んで、2時半まで遊び、それから奈良子尾根を降りたのです。  この尾根は陣馬山の道では緩やかな方で、山里の温泉目指して下るのどかなところがいいのですが、緩やかと言っても、長男にはきつかった。足をどうふんばってすべるのを止めたらよいか、彼にはむずかしかったようで、奈良子峠に入ってすぐに座り込んでしまいました。  そこで、あっこより障害児のことにかけてはベテランの親達が、手を貸してくれたり、傘を(杖がわりに)貸してくれたり、また彼と同じ障害のある子供達が手を取ってくれて、座り込んでは助けられ、座り込んでは助けられ、ようやく車道に出ました。
 ところが車道が長く続くので、またも彼はエンコしてしまい、もうてこでも立とうとしない。そこでしかたありません。彼ひとりを残して歩きました。

 しばらく経って振向いて、そっと様子を見ると、かわいかったです。彼は両手をしっかり組んで、必死の様子で、お祈りをしていました。なにしろ、山の中で一人にされてしまったのですから…。迎えに行くと、何とか立ち上がり、また歩き始めました。その後も何度もエンコして、友達にも引っ張ってもらって、一度温泉宿でジュースを飲んで、また歩いて、やっとバス停にたどりつきました。
 皆さん、こんなに遅くなってしまって、ごめんなさい。

 藤野から高尾までJRの列車に乗り、彼と並んで座りました。すると、彼は頭をあっこの方に傾けて、「大好き!」と言ったのです。あっつ、嬉しいよ。ありがとう。そして「また行く?」と聞くと「ぃく」と言いました。あんなに辛かったはずなのに、です。月がまあるく光っていて、「っき」と指差しました。山に行った、登った、降りた、というのは、彼の中に大きな満足感として残ったのです。
 みんな遅れてごめん、でも、行ってよかったよ〜。  (2004.05 あっこ(あっこさんのホームページより転載))

駒沢オリンピック公園

 駒沢オリンピック公園が大好きである。特に大きなけやきの木が並ぶ入り口の風景は、柔らかな新緑の春も、青々と茂る葉が涼やかな影を作る夏も、枯葉散る秋も、葉の落ちた枝から日差しのさす冬も、四季それぞれに風情があって、すばらしいと思う。我が家では、予定のない休日は、お天気さえよければ、駒沢公園に行ってお昼を食べよう、という話になる。お昼を作るのをサボる、という目的もあるが、何より、日差しの中で食事をするのは、それだけで美味しく感じられるし、気持がいい。できるなら、駒沢オリンピック公園の近くに住みたいものだ、と常々思っている。

 駒沢公園では、障害児・者と思われる方を見かけることも多い。もちろん我が家もその一員だが…。わんぱくの子供たちにも時々会う。ボランティアさんらしき人と楽しそうに歩く障害児もいる。車椅子もよく見かける。おじいちゃんの車椅子を押すおばあちゃん、おばあちゃんの車椅子を押す多分娘さん、もちろん自分で車椅子を運転する人もいる。 駒沢オリンピック公園で、このような風景に触れると、世田谷は、少しやさしい街かも知れない、と思う。  (2004.02 RYO)

負け犬の遠吠え

 ちょっと前のことになるが、朝日新聞の「ひととき」というコラムに以下のような内容ではじまる投稿があった。『どんなに美人で仕事ができても30過ぎて子供なしは「負け犬」なのだそうだ。・・』 「負け犬の遠吠え」という本があるらしい。色々と反響があったようで、その後特集も組まれていた。結婚して子供がいれば、「勝ち組」になるらしいが、その子供が障害児である私などは、さしずめ、「負け組」ということになるのだろう。

 投稿は続く、『でも子育てだっていいことばかりではないでしょ。』 その通りだ。スーツに身をかためて颯爽と仕事をしていようと、いいことばかりではないのと同様、子育てだっていいことばかりではない。逆に、子供が障害児だったからと言って悪いことばかりではない。要するにいいこともあれば、悪いこともある。何だってそうなのだ。

 「勝ち組」「負け組」・・、誰が言い出したか知らないが、私はこの言葉が大嫌いである。もし本当に人生に「勝ち組」があるとしたら、それは「よりよく生きようとする意志」を持ち、毎日の何気ない生活の中に、感動と感謝を見出せるかどうかで決まるのではないだろうか。 (2004.03 RYO)


土曜マーケットのこと

 苦しい運営を少しでも助けるため、毎週土曜日ミニバザーをしている。もう6、7年になる。バザー用品の出し入れは、荷物が2階にあることもあって、結構きつい。最初のころはお客様もあまり多くなく、たいした売り上げもなかった。土曜マーケットをするより、その時間、パートにでもいってその収入をわんぱくに寄付したほうが、よっぽどいいんじゃないの、と、正直そう思っていた。

 そうして毎週土曜マーケットを続けて今はどうなったか、というと、たくさんの常連のお客様ができた。土曜マーケットに来てくださる人たちが、お互い顔見知りになり、ベンチでおしゃべりをしてコーヒーを飲む、ちょっとしたコミュニティになった。商品を買ってくださるだけでなく、品物を並べるの手伝ってくださったり、商品を寄付してくださったり・・。わんぱくの子供たちに声をかけて下さる方もおり、売り上も最初のころに比べると格段に増えた。ああ、地域に根ざすというのは、こういうことだったのだと思った。荷物を降ろすのは相変わらず重労働だが、最近の土曜マーケットは、やさしい香りがして居心地がいい。   (2004.05 RYO)